感情吐露をつらつらと

漫画、アニメなどの感想を書いていきます。

『カムパネルラとカムパネルラ』 アクタージュ 夜凪景と百城千世子について

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「ああ どうしてあそこに立っているのが 私じゃないんだろう この感情に"嫉妬"なんて簡単な名前をつけたくない だから今はただこの感情を覚えておこう きっといつか 私をより美しくしてくれる そのための感情のはずだから」

 

千世子のこの台詞が狂おしいほど大好きですどうもこんにちは指揮者です。

 

このブログを作ったのが4月でまともに使い始めたのが11月なのヤバさがあるなと思いながらこの文章を書いています。

本当はこのブログを書く前に『リズと青い鳥』の記事を書いていたんですが(それも半年以上前の話)いろいろ思うところあって円盤が発売されてもう一回ちゃんと見てから書こうと思い断念していました。なので投稿的にはこれが作品感想として記念すべき1個目の記事となるわけですがこれが最初で最後にならないことを祈っています。

 

 

で本題に入っていくわけなんですけど、皆さん週刊少年ジャンプで連載されてるアクタージュって漫画を読んでますか???

 

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いや、聞くまでもなくこの記事をわざわざ読んでくれてる人は全員読んでいると思うんですけど『演劇編』に入ってからの面白さ、エゲツないですよね。

この記事を書いている時は42話『星アキラ』が最新話なんですけど毎話毎話面白さが加速していくというかとにかく面白い。デスアイランド編で出来たこの作品の土台を上手く使って、主人公である夜凪の成長をとても丁寧に描いていると思います。

 

そんな演劇編についての記事も書きたいとは思っているのですが(巌さんについてとにかく書きたい)今回は演劇編についての記事ではありません。完全にオタク全開のキャラとキャラの関係性についての記事です。覚悟してください。

 

 

・夜凪景と百城千世子、その関係性

 

唐突に隙あらば自分語りなんですけど、僕は物語を読んでいてキャラ同士の『関係性』に心をやられることがとても多いです。

 

「この関係性じゃないと好きじゃない!」「この関係性が描かれている作品だけを読んでいく!!」といった特定の関係性だけにやられるタイプのオタクではなく、例えば『友達』だの『悪友』だの『百合』だの『ライバル』だの大抵の関係性は美味しくウメーウメー言いながら喰って生きています。しゃぶり尽くしています。

 

そんな僕が今一番熱いなと思ってる関係性が『夜凪景と百城千世子』の関係性です。

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夜凪景

 

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百城千世子

 

上の画像を見てもらうと分かっていただけると思いますがまずこの2人、とてつもなく顔が良いんですよね。顔が良いってのはとても重要でこの顔が良い2人が同じコマにいるだけで『顔が良い×顔が良い=最強』という完璧な式が出来上がります。強い。

 

となんかこれだけ言うと「顔が良かったらいいんじゃねぇか!!!!」ってなりそうなんでこの2人の内面の関係性について書いていこうと思います、むしろこっちが大本命。

 

僕がこの2人の関係性にやられるきっかけになったのは単行本4巻に収録されている32話『私のカムパネルラ』という回です。

 

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この回はカムパネルラの役作りが出来ずに悩み、更にそれに追い打ちをかけるように目の前でジョバンニの『役作り』をする明神阿良也に喰われてしまった夜凪の元に千世子が会いに来るところから始まります。

夜凪と千世子が渋谷デートをしてそのデート中の千世子との会話をきっかけに夜凪がカムパネルラの『役作り』をする、というのがこの32話のおおまかな流れなんですがこの回の夜凪と千世子の会話の破壊力がまあ凄かった。

特にこの

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のシーンがヤバすぎました。

 

このシーンのまず何が良いって千世子の口調なんですよね。「つまんない悩み方してんなよ」の『してんなよ』の部分。めちゃくちゃ良くないですか????

『しないでよ』ではなく『してんなよ』。これ、少しきつめの言い方っていう感じがするんですけど夜凪のことを対等に、または特別に思っているからこそ出てきた口調だと思うんですよね。

 

そもそも千世子っていう人間が"天使"の側面以外を見せる相手って凄い限られてるわけじゃないですか。

 

自分の横顔がどういう風に他人から見られているのか気になり、そしてそんな現実に生きづらさを感じていた時に星アリサに才能を見出されたからこそ出来上がった"天使"の仮面、彼女はその"天使"の仮面をつけて演じることを自ら望んでいて1人になっていくような感覚も別に気にならなかった。

でもそれは悲しいことだったと僕は思うんですよ。1人になっていくのは寂しい。自ら望んで進む道の先が1人なんだったら仕方ないんだって考えもあると思うんですけど、それでもその進んだ先で得た心の中で、現実の生きやすさと1人になっていく寂しさは同居していたと思うんですよ。

そんな千世子にとって夜凪は自分の"天使"の仮面に気付いた上でその仮面ごと自分を大切にしてくれた、そしてこれからも大切にしてくれるであろう特別な存在なわけです。そう特別に思っているから、対等に思っているからこその『してんなよ』って口調なんだと思います。

 

それでこの会話の中身についてなんですが「なら初めから君は私のカムパネルラじゃん」がヤバすぎますよね。こいつさっきからヤバイしか言ってねぇじゃねぇかって感じなんですけどとにかくこの台詞で受けた心の衝撃とんでもなかったんですよ。

 

この台詞はこの会話の前にカムパネルラの役作りが上手くできない心境や不安を千世子に吐露した時の夜凪の「私が千世子ちゃんに……ううん…カムパネルラになれるとは思わない」という台詞を受けた上での千世子の台詞なんですがそもそもこの夜凪のカムパネルラ=千世子って思考がめちゃ良いんですよ。

 

千世子にとっての夜凪は前述の通りなんですけど(もう少し掘り下げたさはある)夜凪にとっても千世子は同年代のトップの役者だからということ以上に彼女にとっての『特別』だと思うんです。

 

デスアイランド編で夜凪は最初顔が『視』えてこない千世子に興味を持ち、そんな彼女にあってみたいと考えていました。そして彼女の"天使"の仮面を生で感じた時に最初は「そんな仮面を被り続けている千世子が可哀想」という憐れみでも同情でもないけれど、その2つに似ている感情を抱き泣いてしまった。

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でも千世子の仮面にそのような感情を向けることは間違っていた。千世子が自分が生きるために作り出した仮面を、彼女の映画への執念そのものともいえる"天使"の仮面に対して『可哀想』などという感情を向けるなんてことは間違っていた。彼女の勇ましさ、優しさ、美しさを、そして努力を何も知らなかった。

それに気付いた時に夜凪にとっての千世子は本当の『カレン』になりました。

 

そんな彼女の『凄さ』を知っているからこそ自分がカムパネルラというキャラクターに想いを馳せた時に連想した千世子を、凄い彼女を自分が演じるなんて無理だと、そう夜凪は思ってしまったのだと思います。

 

でもその考えを持つということは他者(千世子)に対して壁を作るという意味でもありました。

 

その壁が出来ていること自体に千世子は腹を立てたんだと思います。「私が『特別』だと思っているあなたがなんで勝手に私のことを『特別扱い』して遠ざけているのか」と。

そして「あなたは私のことを『いつもキラキラしていて遠くを見ていて、でも本当は誰よりも優しい』と思っているけれど、それは私から見たあなたでもあるんだよ」と。

 

それを素直に、"天使"としてではなく、生きづらい現実で生きるための仮面をつけていない『百城千世子』として夜凪に伝えているというのが、僕の心をこんなにも魅了したのだと思います。

 

自分が生きていくために仮面をつけている女の子が自分が『特別』だと思っている女の子に腹を立て仮面をつけずに笑顔で本音をぶつける、最高です。

 

 

・まとめ

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はい、ここまで読んでくださった皆さんの「いや結局これただの32話の感想じゃねぇか!!!夜凪と千世子の関係性について書くんじゃなかったのか!!!!」って声が聞こえてくるようです。すみません、僕も同じようなことを思いながら今この文章を書いています。

 

いや、正直感想記事書くのがこんなに難しいものだとは思ってなかったんですよ。

早く関係性について書きたいのに、「関係性を書くためにはなんでそういうことを思ったのかの理由を書かないといけない、ならその理由に関係している話の感想をしっかり書かないといけない」って思考に陥ってしまい32話の感想に全力を尽くしてしまいました。

 

ここから他の話(例えば千世子の過去回想やら趣味など、夜凪の過去やら茜達との演技で得た感情や表現方法)なども絡めつつ2人の関係性について語りたいのですが、それでは収拾がつかなくなると判断したためこの32話で感じたこの2人の関係性についてのまとめを書くことでこの記事を終わりにしたいと思います。

 

お互いがお互いのことを自分にとってのカムパネルラだと思っていた夜凪と千世子。そんな2人は『特別』な感情や『憧憬』を持ちながら、友達だけどただの友達でなく、役者という生き方を選んだが故の喰っては喰われを繰り返す、そんな独特の関係性を築いていくのだと思います。夜凪は無意識に、千世子は意識的に。

そんな2人の感情やら才能やらがぶつかり合いながらも成長していく関係性を、これからもこのアクタージュという作品を読んでいくうえで見れていければいいなと思います。

 

最後に、ここまでこの大変読みにくかったであろう処女記事を読んでくださった皆さんに感謝を。

皆さんが思うこの2人の関係性とは当然違ったり、はたまた似ていたり、部分的に同じだったりすることを書いていると思いますが少しでも共感していただけたら幸いです。黒山墨字は『共感はするものではなくあるものだ』と読み切り版で言っていましたが僕はどちらの意味でも表現していい言葉じゃないかななどと思っています、共感。

 

そしてもし、もし「ここまでこの記事読んだけどアクタージュ読んだことない!」「少しだけなら知ってるけどまだ本意気では読んでない!」って方がいらしたらまだ4巻しか出てないので是非とも買ってください。今が集め時ですチャンスです。今やってる演劇編ガチで面白いので本誌派にもなっちゃいましょう。

 

 

ではこの辺で今回の記事を終わりにします。ここまで読んでくださった皆さん、本当の本当にありがとうございました!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

『天才』と『秀才』についての関係性もいつか書いてみたい……

 

 

 

 

アクタージュ act-age 1 (ジャンプコミックス)

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